1.水溶液中のマンガン(II)イオンを臭素酸イオンで徐々に酸化することにより、水溶液に浸したガラス基板上に酸化マンガン(IV)の薄膜を析出させることが可能であることを見出した。均質な薄膜を作製するためには、マンガン(II)イオンの酸化速度を制御して、基板上への不均一核形成を優勢にさせる必要があった。得られる薄膜は、γ-MnO2相であり、これはタンタルチップコンデンサーの電極材料として有望である。複雑な形状を有するタンタルチップへのγ-Mh02コーティングへの展望が開けたので、今後応用研究へと発展することが期待される。また、出発溶液のpHを制御することで、γ-MnO2以外にもMn3O4、MnOOH等の薄膜作製も可能になることがわかった。 2.水溶液中のセリウム(III)イオンを塩素酸イオンで徐々に酸化することにより、水溶液中に浸したガラス基板上に酸化セリウム(IV)薄膜を析出させることが可能であることを見出した。析出に要する反応温度は50℃であり、ポリマー表面への薄膜形成も可能になると期待される。薄膜の厚さは30nm程度であり、可視光をよく透過すると同時に、近紫外線を効果的に遮断することが確認できた。 3.酸化チタン粒子の上に導電性酸化スズの薄膜を形成し、帯電防止用ポリマーフィラーの作製を試みた。前年度の研究結果に基づき、導電性を付与するドーパントの導入方法を変えたところ、前年度の約10倍の導電率が達成された。
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