研究課題/領域番号 |
13650895
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
古川 直治 大阪府立大学, 工学研究科, 講師 (70081338)
|
研究分担者 |
野原 愼士 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (40326278)
井上 博史 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (00213174)
岩倉 千秋 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (00029183)
|
キーワード | ニッケル-亜鉛二次電池 / 充放電特性 / デンドライト / 結晶成長 / 高分子ヒドロゲル電解質 / 高吸水性 / 保水性 / 電気伝導率 |
研究概要 |
本年度に得られた知見をまとめると以下のようになる。 1)吸水性、保水性およびゲル化力に優れた架橋型ポリアクリル酸カリウムあるいはその誘導体を用いて水酸化カリウム(KOH)および酸化亜鉛(ZnO)を含む高分子ヒドロゲル電解質を作製した。この電解質は、三成分の広い濃度範囲にわたって常温で0.1Scm^<-1>のオーダーの非常に高い電気伝導率を有し、化学的に安定で広い電位窓を有する電解質であることを見い出した。 2)KOHおよびZnOを含む水溶液中では、電析した亜鉛(Zn)が自然溶解するためこの電解質を用いたニッケル-亜鉛二次電池は自己放電を起こすのに対し、高分子ヒドロゲル電解質を用いると電析亜鉛の溶解をほとんどゼロに制御できることがわかった。また、ニッケル-亜鉛電池の充放電反応に対応するZnのカソード析出とアノード溶解は、KOHおよびZnOのみを含む電解質に比べ、高分子ヒドロゲル電解質中で最も円滑に進行し電極/ヒドロゲル電解質界面が二次電池の反応場として機能することが示唆された。 3)電析亜鉛の形態制御を行うために各種の添加剤を電解質に加えてZnの電析形態を調べ、Znのデンドライト生成や粗大な結晶成長が起こらず微細な電析結晶が得られるための無機および有機化合物の添加剤をそれぞれ見い出し電析条件との関連性を明らかにした。 4)高分子ヒドロゲル電解質の二次電池への適用性を評価するために、電気伝導率のほかイオン輸率、ボルタモグラム、酸素透過速度、集電材料に対するクリープ(ぬれの拡大)速度などの測定技術を確立した。 5)Zn、アセチレンブラックおよびPTFEの粉末を用いて作製したペレット型負極、焼結式ニッケル正極ならびにKOHおよびZnOを含む高分子ヒドロゲル電解質を用いて薄型のニッケル-亜鉛電池を組み立て充放電試験を行った結果、KOHおよびZnOのみを含む水溶液を電解質に用いた従来のニッケル-亜鉛電池に比べ、高分子ヒドロゲル電解質を用いた電池はサイクル特性、放電容量など多くの特性が著しく優れていることが判明した。
|