研究概要 |
種々の金属塩の除去特性並びに吸着機構を明らかにしようとした。比表面積については2000〜2500m^2/gの範囲に電解質除去量の最大値があることが認められた。細孔構造についてはマイクロ孔が除去に対して極めて有効であることが認められた。一方、電極活性炭の表面含酸素官能基は除去速度・容量を向上させる効果があるが最適量を超えると、イオン吸着量は大幅に減少した。 各種電解質の除去処理では吸着特性がアルカリ金属,アルカリ土類金属,遷移金属に分類された。また、その除去量はアルカリ金属が最も多く、次いでアルカリ土類金属,遷移金属であり、概ねイオンの半径に依存することが分った。銅イオンの場合は除去終了後の電極表面に金属の析出が認められた。これは電極界面での電気分解反応が原因であると思われた。また、遷移金属は活性炭の表面官能基とのイオン交換反応によって除去されることが分った。一方、ナトリウムやマグネシウムイオンは、静電引力による吸着以外に電極の表面含酸素官能基とのイオン交換反応、電圧印加時の電気化学的なイオン交換反応、電極界面での電気分解反応であると推測された。 アニオン種の影響では、塩化物と硝酸塩が最も除去され易い。電解質除去に伴う活性炭電極の孔隙構造の変化は極めて小さく、電極の比表面積及び細孔容積は40時間で僅かに3%の低下であった。しかし、硫酸銅を除去した場合、極めて早い段階で比表面積・細孔容積が減少する傾向が認められた。これは電気分解反応により析出した金属の細孔内への充填に伴うものと推測された。この現象については、次年度にX線小角散乱法によって細孔構造の変化を追跡する。
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