研究概要 |
通液型コンデンサ装置を用いて、希薄水溶液から電解質を効率的に除去することが可能であった。多孔性炭素電極では、最大85%以上の除去率を得ることができた。除去量は概ね電極活性炭の比表面積およびマイク孔容積と相関関係があった。活性炭の表面官能基は、電解質の除去を増進させる効果があるが、その量には限りがあって過度な導入は吸着を妨害することが分かった。イオンの除去機構は次のような4形態に分類された。1)静電引力による吸着,2)電圧印加時における電気化学的なイオン交換反応,3)電解質と活性炭との接触による通常のイオン交換反応,4)電極界面での電気分解反応(例えば銅や亜鉛)であることが分かった。電気分解反応によって形成された金属は、長時間の除去操作で活性炭電極の細孔構造に影響を与えた。アルカリ金属は容易に回収できるが遷移金属は最も困難であった。この除去機構は主として電気分解反応によるものと考えられた。一方、アニオンの除去量はNO_<3^->とCL^-が最も多く、次いでHPO_4^<2->、SO_4^<2->の順であった。水和半径が小さいイオンほど除去され易い傾向にあるが、HPO_4^<2->の除去機構には酸化還元反応も併発しているように思われた。2成分系では共存イオンの影響は認められず、競争的な吸着現象は生じていないことが分かった。また、電極の再生過程では、NO_<3^->やHPO_4^<2->が脱着され難いことを認めた。大型装置の試作では54層の積層化電極により、従来の50-100倍量の電解質を処理することが可能となった。
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