研究概要 |
カリックスアレーンの酸素配位サイト、アレーン配位サイト両配位部位への金属錯体フラグメントの位置選択的、段階的な集積法の開発を目指し、本年度はカリックス[4]アレーン類への8族、9族金属錯体の導入反応を検討した。すなわち、カリックス[4]アレーン類とロジウム二核錯体[Rh(cod)(OMe)]_2の反応では、カリツクスアレーンとロジウム金属のモル比を1: 1とした場合にはRh(cod)フラグメントがアレーン配位サイトに選択的に配位するのに対し、モル比を1:2にすると第二のRh(cod)フラグメントは酸素配位サイトに選択的に配位することが判明した。このことは第一のRh(cod)フラグメントがアレーン配位サイトに配位することにより酸素配位サイトの配位能力が向上し、第二のRh(cod)フラグメントを配位できるようになったことを示す。この配位コントロールを利用し、カリックス[4]アレーンヘまず[Ir(cod)(OMe)]_2、次に[Rh(cod)(OMe)]_2を反応させることにより、位置選択的にIr, Rhフラグメントを導入したヘテロニ核錯体を合成することに成功した。また、カリックス[4]アレーンと[Cp*Rucl]_4との反応からはCp*Ruフラグメントがアレーン配位サイトに1つ、あるいは2つ導入された錯体を得た。興味深いことに、後者の錯体ではCp*Ruフラグメントが隣り合った芳香環に配位した構造となっており、従来報告されていた関連するCp*Rh, Cp*Irなどの錯体とは異なった位置選択性で反応が進行していた。また、Cp*Ruフラグメントを1つ導入した後にRh(cod)フラグメントを酸素配位サイトに導入し、ヘテロ二核錯体を得ることにも成功している。以上の結果は、酸素配位サイト、アレーン配位サイトを同時に利用することによりカリックスアレーンの配位子としての能力を高度にチューニングできることを示すものである。
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