研究概要 |
1.遷移金属ルイス酸を触媒とするカルボニル化合物とケテンの[2+2]付加環化反応 パラジウム,白金,ロジウム,ルテニウムを中心金属とする様々な金属錯体を触媒として[2+2]付加環化反応を試みた。その結果,パラジウムおよび白金錯体が高い活性を示すことがわかった。また,触媒活性は,中心金属や配位子のみならず,対アニオンの種類に著しく依存するという興味ある知見を得た。BF4^-を対アニオンとするパラジウム錯体は,アルデヒドとケテンの反応のみならず,ケトンや置換ケテンを用いた反応でも付加環化生成物を与えた。 2.遷移金属ルイス酸を触媒とするカルボニル化合物とケテンのタンデム[2+2]付加環化-アリル転位反応 種々のα,β-不飽和アルデヒドおよびケトンとケテンの反応を行い,付加環化生成物が系内でアリル転位を起こす条件を調べた。その結果,付加環化生成物である4-ビニルオキセタン-2-オンの4-位,またはビニル置換基の2-位にアルキル基を有する場合に,アリル転位生成物が得られることを見出した。この実験事実と他のルイス酸の活性試験などの結果から,双性イオンを中間体とするアリル転位の反応機構を提案した。すなわち,4-ビニルオキセタン-2-オンが,そのカルボニル酸素にルイス酸が配位することにより活性化さもC_4-0結合の開裂により双性イオンとなる。この双性イオンが異性化し,もう一方のアリル末端で再結合することにより,δ-ラクトンが生成すると考えられる。
|