研究概要 |
1.ジメチルシリルエノラートおよびその等価体の求核付加反応 塩化カルシウムや塩化リチウムなどの金属塩存在下、ジメチルシリルエノラートやα-ジメチルシリルエステルが効率良くアルドール反応を起こすことがわかった。ジメチルシリルエノラートのアルドール反応は水存在下でも進行し、ホルマリンのような水溶性アルデヒドを用いることもできる。金属塩はルイス塩基として働き、対アニオン、特に塩化物イオンによるシリルエノラートの活性化がアルドール反応を促進していることが明らかになった。この反応は、ルイス塩基が水性アルドール反応を触媒するという点において、極めて新奇な反応である。ジメチルシリルエノラートは、塩化マグネシウム存在下、α,β-不飽和ケトンに対して効率良くマイケル付加した。これに対し、α-ジメチルシリルエステルは同様の条件下でアルドール反応とマイケル反応を併発し、基質によってはアルドール反応のみが進行した。また、これらのケイ素求核剤は、金属塩存在下で効率良くN-トシルイミンに付加することもわかった。 2.ジメチルシリルエノラートを用いるジオールの合成 フッ化物イオン触媒存在下、ジメチルシリルエノラートをアルデヒドに作用させると、アルドール反応と続く還元反応により1,3-ジオール類が高立体選択的に生成することがわかった。このように、二官能性ケイ素反応剤を用いる効率的なタンデム反応の開発に成功した。
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