研究概要 |
(1)epi-Jasmonic Acidを産生する代謝経路の上流に位置する12-oxo-PDA, OPC-8:0,OPC-6:0,0PC-4:0の合成を行なった。すなわち,12-oxo-PDAの合成では,光学活性な1-cyclopentene-1,3-diol monoacetate(1)に対してRO(CH_2)_8MgXをCuCN存在下で反応させてC(1)-C(8)側鎖を有する中間体を合成した。次に,残っているアリルアルコール部位に対してClaisen転位を行い,もう一つの側鎖導入の手がかりとなる中間体に変換した。アルデヒド基を酸化し,続いてヨウ素ラクトン化した。ヨウ素を脱HIし,五員環上にオレフィンを構築した。ラクトンからアルデヒドに導き,Wittig反応を行って2つ目の側鎖(cis-2-pentenyl基)を構築した。最後に酸化段階を調節すると12-oxo-PDAが合成できた。上で合成したヨウドラクトンをラジカル的に除去し,その後同様の変換反応を行うとOPC-8:0が合成できた。 (2)PPARγアゴニスト活性を示すΔ^<12>-PGJ_2の合成では,Pd触媒存在下,monoacetate(1)にmalonate esterを反応させた。生成物を脱炭酸し,Wittig反応を行ない,五員環上の水酸基を酸化するとα側鎖の入ったキー中間体が合成できた。このエノンに対してアルドール反応・脱水を行いジエノン骨格を構築した。最後に保護基を除去するとΔ^<12>-PGJ_2が合成できた。この手法を活用し,15-deoxy-D1^<2,14>-PGJ_2およびこれらのアセチレン誘導体も合成した。アセチレン誘導体をトリチュウムラベル化したものは生化学研究に必須の化合物である。 (3)アルキル基と異なり,monoacetate(1)にaryl基の導入は難しかったが,ArLiとCuClからなる1:1試薬を用いると選択的に反応した。
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