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2002 年度 実績報告書

複素環大環状化合物のカラースイッチング機能及びリチウム選択的輸送機能

研究課題

研究課題/領域番号 13650916
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

小川 昭二郎  お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (20013196)

キーワード大環状化合物 / 1,10-フェナントロリン / 液膜輸送 / カラースウィッチング / 分子軌道 / 互変異性
研究概要

本年度は、新たに合成したピリジンを含む大環状化合物のさらに効率の良い合成法を探るとともに、共役系およびプロトン移動を制御するために種々の置換基を導入してその立体効果による構造変化を調べることとした。1H NMRスペクトルにより、いくつかの化合物のコンホメーションが温度および溶媒により大きく変わることを見出し、温度または溶媒の極性による共役系の制御が可能となることがわかった。これらのコンホメーションおよびさらに、これまでカラースイッチング現象は亜鉛錯体のみで見出されていたが、リチウム錯体についても検討を行ったところ、リチウム錯体においても、溶媒により色が可逆的に変化することがわかり、その構造を推定した。リチウムイオンの液膜輸送による分離については、これまで原子吸光スペクトルのみにより評価してきたが、今回設備備品として申請したイオンアナライザーは簡便に複数のイオン濃度を同時に測定できるため、選択性の評価が極めて容易になった。本年度はさらに比較のため、大環状構造ではない1,10-フェナントロリン誘導体の合成を行い、輸送用キャリヤに対する評価を行った。その結果、2,9位にカルボニル基をもつ置換基を有する誘導体はリチウムイオンと1:1錯体を作るが、カルボニル基をもたないものは2:1錯体をつくることを見出した。輸送用キャリヤとして用いた場合、後者は輸送速度において優れているが、前者はリチウムイオン選択性において優れていることがわかった。これらの結果は、J. Am. Chem. Soc.、Bull. Chem. Soc. Jpn.、J. Molecular Sci.において発表した。
今後さらに新しい機能をもつキャリヤおよび輸送システムを探るとともに、配位子を固定化し、吸着によるリチウム分離材としての応用を検討する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] S.Tsuchiya, Y.Nakatani, R.Ibrahim, S.Ogawa: "Highly Efficient Separation of Lithium Chloride from Seawater"Journal of the American Chemical Society. 124、No.18. 4936-4937 (2002)

  • [文献書誌] A.Furuhama, K.Takano, S.Ogawa, S.Tsuchiya: "A theoretical study of tautomerism in hexa-aza macrocycles containing 2,2'-Bipyridine and 1,10-phenanthroline and their abirity to form lithium complex"Journal of Molecular Structure(Theochem). 620. 49-63 (2003)

  • [文献書誌] A.Furuhama, K.Takano, S.Ogawa, S.Tsuchiya: "Theoretical Study of a Conformational Change Occurring with Lithium Complexation to a Tetra-aza Macrocycle Containing 2,2'-Bipyridines"Bulletin of the Chemical Society of Japan. 74, No.7. 1241-1249 (2001)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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