研究課題/領域番号 |
13650918
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
近藤 輝幸 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20211914)
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研究分担者 |
光藤 武明 京都大学, 工学研究科, 教授 (90026344)
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キーワード | ルテニウム錯体触媒 / カルボニル化反応 / 二量化反応 / 炭素-炭素結合切断 / シクロプロペノン / ピロノピロン / アセチレン |
研究概要 |
メタラサイクルは、環状化合物の金属への直接酸化的付加、低原子価遷移金属上での不飽和有機化合物の酸化的環化、シクロメタル化、メタセシス反応等、種々の方法で発生可能であり、その反応性は極めて興味深い。一方、新しい有機材料を創製することは、社会的に常に強く期待、要請されている重要な研究課題である。最も有力な手段の一つは、新しい概念に基づく高選択的炭素骨格形成新反応による新しい型の機能性有機分子(モノマー)の合成である。本研究は、従来、有機金属化学において錯体レベルでの研究が主であったメタラサイクル錯体を触媒的新規機能性有機分子の合成反応に利用する新しい試みであり、我々がこれまで重点的に検討を行ってきたルテニウム錯体の接触化学、特に触媒的炭素-炭素結合切断機能をさらに発展させることを目的とする。 本年度はまず、申請者が最近見出した、いくつかのルテニウム錯体触媒に特徴的な接触的炭素-炭素結合切断反応において得られた知見を基に、分子内にカルボニル基と不飽和結合を併せ持ち、かつ適度な歪を有する環状化合物である「シクロプロペノン」類を基質に選び、そのカルボニルα-位炭素-炭素結合の活性化・切断による開環、生成したルテナシクロブテノン中間体への一酸化炭素の挿入、さらにもう1分子のシクロプロペノンとの反応による新規機能性有機分子「ピロノピロン」誘導体の触媒的新合成法の開発を行った。その結果、ルテニウム錯体触媒としては、Ru_3(CO)_<12>/Et_3N触媒系が最も高い触媒活性を示し、シクロプロペノンの新規開環カルボニル化/二量化反応により、対応するピロノピロン誘導体が最高収率87%で得られた。さらに本反応条件下、シクロプロペノンとアセチレンとの新規交差カルボニル化反応が進行し、非対称置換ピロノピロン誘導体が高収率(〜82%)で得られることを見出した。 いずれの反応もルテニウム錯体触媒存在下、近年、活発に研究が行われている炭素-炭素結合切断反応と工業的に極めて重要なカルボニル化反応とを組み合わせたシクロプロペノン類の新規開環カルボニル化反応であり、カルボニル化反応が進行する際の、一酸化炭素の導入過程が従来にない新しい形式で進行している点で興味深い。そこで^<13>COを用いたラベル実験を基に、反応機構についても考察を行った。 また、新規化合物「ピロノピロン」は、同一分子内に不飽和結合と2つのエステル基を有する芳香族性を有する化合物であり、その物性および高分子材料モノマーとしての利用が期待される。
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