研究概要 |
活性化基であるトリフルオロアセチル基の数をこれまでの2個から1個に減らした2-トリフルオロアセチル-1-ジメチルアミノナフタレン(1)、芳香環自体をナフタレン系からベンゼン系のテトラヒドロナフタレン環に変えた2,4-ビストリフルオロアセチル-1-ジメチルアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン(2)、更に、複素環系のキノリン環にまで大きく変化させた5,7-ビストリフルオロアセチル-8-ジメチルアミノキノリン(3)や3-トリフルオロアセチル-4-ジメチルアミノキノリン(4)といった4種類の新しい高反応性出発物質の簡便合成法の確立を目指し精力的に研究を行った。 1-ジメチルアミノナフタレン(5)のトリフルオロアセチル化反応では、ナフタレン環の4位ではなく2位で最初にアシル化反応が起こってしまった。従って、5を直接的にアシル化して目的の2-トリフルオロアセチル体(1)を得ることはできなかった。そこで一旦、5をジアシル化し、2,4-ビストリフルオロアセチル-1-ジメチルアミノナフタレン(6)とし、これに独自に開発した触媒による選択的脱アシル化法を適用し、6の4位でのみ脱トリフルオロアセチル化反応を行わせることにより、1を合成することに成功した。また、8-アミノキノリンをN, N-ジメチル化した後、ピリジンの存在下に無水トリフルオロ酢酸でジアシル化し、目的の3を収率良く合成することができた。更に、これまで報告例のない、4-ジメチルアミノキノリンのピリジン環部のトリフルオロアセチル化反応にも成功し、4を高い収率で合成した。 次に、このようにして合成した1、 3および4を新基質とし、これらと各種N-、S-及びO-求核試薬(アミン類、チオール類及びアルコール類等)との新規芳香族求核置換反応(N-N, N-S, N-O交換反応)を体系的に検討し、いずれの場合も当初の目的通りの良好な結果を得ることができた。
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