研究課題/領域番号 |
13650925
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
細川 隆弘 高知工科大学, 工学部, 教授 (90029520)
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研究分担者 |
志賀 昭信 住友化学工業(株), 室長研究員
小廣 克哉 高知工科大学, 工学部, 助教授 (60170370)
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キーワード | アリルアルコール / ビニルエーテル / オキシパラジウム化 / ジヒドロフラン体 |
研究概要 |
精密有機合成化学に寄与し得る高機能性Pd^<2+>/Cu^<n+>触媒の開発を行い、アリルアルコール類のビニルエーテル体へのオキシパラジウム化過程と、それに続く分子内環化の高度制御を行い、キラルな含酸素複素環化合物の合成を行うことを目的とする。そのために、(1)オキシパラジウム化過程に面区別機能を付与させ、新規不斉反応の開発を行う。(2)分子内環化過程の位置選択性の制御により、5員環あるいは6員環化合物の選択的合成を開発する。(3)Pd^<2+>/Cu^<n+>(n=1or2)とO_2の触媒システムに適切な配位子(L^*)(例えばキラルアミドやカテコール化合物)を組み込み、O_2分子の活性化に焦点を当て、触媒ターンオーバー数の向上を計る。これらの項目についての検討を行い、本年度は以下の成果を得た。シンナミルアルコール類とビニルエチルエーテルとの反応から生成する環化生成物のX一線単結晶解析を行ったところ、5員環のジヒドロフラン誘導体が生成していることが判明した。この反応を用いて生成する化合物は、6員環のジヒドロピラン誘導体であることが、以前に大嶌らにより報告されている。この相違を詳しく検討した結果、大嶌等はこの化合物の構造決定にNMRのみを使用しており、5員環構造と6員環構造の相違が、この手段では判定し得なかったとの結論に達した。この5員環のジヒドロフラン誘導体を生成する過程の中で、ビニルエーテルのオレフィンへのオキシパラジウム化段階のエナンチイ区別を検討した。光学活性アミド類を用いて、このオレフィンのエナンチイ区別を検討した。現在のところ約30%前後の区別性が得られることが判明したが、この値の向上が今後の課題として残された。なお、上記の項目(3)については、来年度に重点的に検討することになった。
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