研究概要 |
エチルフェンルケテンとし種々の置換ベンズアルデヒドのアニオン交互共重合を検討した。その結果、開始剤としてアルキルリチウムを用い、テトラヒドロフラン中40℃にて添加剤として塩化リチウムを用いることにより重合がリビング的に進行し,設計通りの平均分子量かつ狭い分子量分布を有するポリエステルが高収率で得られた。本手法は種々のアルコキシ基を有するベンズアルデヒド誘導体を用いた場合に有効であり,例えば反応性置換基としてアリルオキシ基を有するアルデヒドを用いることにより反応性ポリエステルが得られた。 さらに,無置換ベンズアルデヒドを用いて重合挙動を検討した結果,得られるポリエステルの繰り返し単位中の連続する2つの不斉点の相対立体配置が重合の溶媒や添加剤によって大きく変化することを見出した。この相対立体配置についてはポリエステルの還元的分解によって得られるジオールを環状カーボナートへと誘導し、そのX線結晶構造解析により決定することが出来た。一例として溶媒としてトルエンを用い,添加剤としてビスオキサゾリン配位子を用いた場合,得られるポリエステルの繰り返し単位における相対立体配置は極めて高いトレオ選択性を示し,一方溶媒としてテトラヒドロフランを用いて添加剤なしで重合を行った場合には高いエリトロ選択性を示した。さらに,トレオ含有率が高いポリマーはエリトロ含有率が高いポリマーに比べて耐溶媒性が高くなおかつ熱分解性が高いことが分かった。
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