| 研究概要 |
糖残基を側鎖に導入した糖鎖高分子を1成分として、他のポリマーと共重合体化あるいは特異機能を有する分子団とコンジュゲートした多成分系材料は、新規機能性材料としての応用展開が期待される。本研究では、分子量、分子量分布、ならびに多成分系共重合体におけるセグメント配列などの1次構造の精密制御に有効なリビングラジカル重合を基礎技術として、糖質高分子を1成分とするブロック共重合体、ならびにフラーレン(C_<60>)-糖鎖高分子コンジュゲートの精密合成を検討した。
本年度は、安定ニトロキシルである2,2,6,6-tetramethyl-1-piperidinyloxy(TEMPO)、スチレン、過酸化ベンゾイルより合成した付加体(BS-TEMPO)を開始剤とするリビングラジカル重合系により、単糖あるいは二糖を担持したスチレン誘導体のリビングラジカル重合を検討した。水酸基がアセチル基で保護されたD-グルコサミンならびにラクトースを担持したスチレン誘導体(各々1,2)を、BS-TEMPOにより125℃、DMF中で重合させたところ、比較的鎖長の揃った(Mw/Mn【less than or equal】1.2)糖鎖高分子(poly1とpoly2)が得られた。次に、TEMPOでエンドキャップされたこれら生成物の末端反応性声利用して、多様な構造の多成分系糖鎖高分子の合成を検討した。poly2を開始剤とするスチレン(St)の重合により、分子量や組成比が制御された2元ブロック共重合体が効率良く合成できることを見出すとともに、その脱保護により構造の明確な両親媒性ブロック共重合体を定量的に得た。他方、同様の手法で合成したpoly1とStのブロック共重合体をポリマーラジカル供給源として、ラジカル反応性のC_<60>との付加反応を145℃、o-ジクロロベンゼン中で行うことで、C_<60>にポリマー鎖が2本付加した構造のC_<60>-糖質高分子コンジュゲートを得ることに成功した。
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