研究概要 |
C=C結合やC=O結合を活用した高分子合成は多数報告されてきたが、C=N結合に関しては、研究例が極めて少ない。申請者は、以前から、イソシアナートを除くと、比較的高分子合成に関する研究例の少ないC=N結合の付加重合に注目し、アザスチレンおよびアザブタジエンに関する研究を行って来た。その際、α,ω-アルキル置換アジン化合物は容易にアニオン重合し、中でも、グリニヤ試薬を用いると、1万以上の分子量からなるメタノール不溶の結晶性高分子を生じる事を既に報告していた。今回は、より高分子量で、フィルム形成可能なポリマーを得るため、色々なグリニヤ試薬を用いて重合した。その結果、重合速度に注目すると、グリニヤ試薬の対カチオンがMgI^+>MgBr^+>MgCl^+の順に減少した。また,グリニヤ試薬を用いると、分子量7万以上でフィルム形成能を有する高分子が得られる事も明らかになった。そのIR、ラマン、NMRスペクトルおよびX線解析から1,4-構造単位からなる結晶性高分子である事を再確認したが、NMRスペクトルでは、メチル基、メチレン基、メチン基が明らかに二つに分裂に分裂しており、生成ポリマーの構造に新たな知見が得られた。その熱的性質に注目すると、ブタジエンの同族体であるが、ジエン誘導体に比べて粉末状で、高融点で高結晶性であり、アゾ基の特性が観測された
|