研究概要 |
本研究は,3次元状のSiおよびGe主鎖が有機置換基修飾によって可溶化された構造の有機金属リマー(有機シリコンおよびゲルマニウムナノクラスター)を前駆体として,ナノ構造を有するSi-Ge合金薄膜を形成し,それらナノ構造に由来した特異な光電子物性の解明および新規物性発現を目的とする。本年度は以下に示すような実験により,有機金属ポリマー前駆体法によるSi-Ge合金薄膜形成の可能性を明らかにした。 (1)これまで明らかにしてきた有機シリコンナノクラスター合成法をゲルマニウム系に適用し,種々の有機置換基を有する有機ゲルマニウムナノクラスターの合成を行った。有機置換基としてはtert-ブチル基の場合に,より低温での効果的な有機置換基の脱離と無機ゲルマニウム化が観測された。 (2)有機ゲルマニウムナノクラスターから無機ゲルマニウムへの構造および光電子物性の変化の検討を行った。真空下での加熱処理においては,200℃でのアモルファスゲルマニウムの形成,500℃からの微結晶ゲルマニウムの形成がラマンスペクトルにおいて観測された。れにともなう光学的バンドギャップや電導率の変化を明らかにすることができた。 (3)有機ゲルマニウムナノクラスターのレーザー誘起熱分解法によるナノ結晶ゲルマニウム薄膜形成についての検討を行い,レーザー照射条件(エネルギー密嵐波長)と結晶化への影響を検討した。レーザー誘起熱分解法によって形成されるゲルマニウム薄膜の構造をラマンスペクトルや顕微鏡観察によって明らかにした。 (4)有機シリコンナノクラスター塗布膜と有機ゲルマニウムナノクラスター塗布膜との積層化を行い,その積層膜へのレーザー誘起熱分解法の適用によるSi-Ge合金形成についての検討を行った。
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