研究概要 |
スチレン-d8、イソプレンを成分モノマーとして用い、これら2種類のモノマー混合物(50/50)を0℃、THF/ベンゼン(50/50>混合溶媒中、sec-ブチルリチウムを開始剤としてリビングアニオン重合し、分子全体にわたってテーパー領域を有する共重合体(試料1)を合成した。また、同じ重合条件で、スチレン→(スチレン-d8/イソブレン混合物)→イソプレンの順にモノマーを逐次添加して分子中央部にのみテーパー領域を有する共重合体(試料2)も合成した。さらに比較試料としてポリスチレン-d8-ポリイソプレンジプロック共重合体(試料3)も併せて合成した。分子量測定ならびにNMR測定の結果、いずれの試料ともほぼ等しい分子量(M_w≒4×10^4)、狭い分子量分布(M_w/M_n<1.2)および等しい組成(ポリイソプレンの体積分率約0.5)を有していることが確認された。また、3種類の共重合体試料をそれぞれジクロロメタン溶液として-78℃でオゾン処理することによりポリイソプレン部分の主鎖切断/分解除去を行った後、GPC分析した結果、それぞれテーパー領域鎖長に応じた分子量変化が確認された。この結果より試料1,2は確実にテーパー領域を有することが定量的に確認された。 3種類の共重合体試料のベンゼン溶液キャスト膜からのモルフォロジーを、透過型電子顕微鏡(TEM)観察したところ、いずれも明確な交互ラメラ構造を示すことが確認された。3試料のTEM写真からはミクロ相分離界面厚さの違いは確認できなかった。また、小角X線散乱測定より、いずれの試料ともほぼ等しいドメイン間隔を有することが確認された。さらに、中性子反射率測定により相分離界面厚さを調べた結果、この(スチレン-d8/イソプレン)系のブロック共重合体では反射率プロファイルのフイッテングが他の系のものほどうまくいかず、十分な精度をもった評価ができていないが、試料1の方が試料3に比べて若干界面厚さが広いことが確認された。 以上の成果は高分子論文集(2002,40,800-806)にまとめられた。
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