研究概要 |
平成12年度の研究は,粘弾性主分散に関する検討を中心にして進めた.現有の動的複屈折測定装置を利用して,ずり流動下で,速度勾配がある面と流動面に対して垂直な方向からレーザービームを入射できるようにジグ,光学系の変更を行った.高分子固体の実験では,広い温度領域での測定が不可欠となるので,本研究費により購入するチラー,エアードライヤーを用いて,低温乾燥空気の供給源を確立し,低温での測定が行えるようにした.その結果,-100度,精度0.02度での実験が行えるようになった.ポリスチレンについて,現有の粘弾性測定装置を用いた通常の粘弾性測定に加え,本研究経費により改良した装置によってガラス転移温度近傍で周波数分散の測定を行った.修正応力光学則を利用して第二法線応力差と第一法線応力差を算出し,第二法線応力差と第一法線応力差の比,βを求めた.その結果.鎖の配向に起因するゴム状成分については,β=0.2程度であることがわかった.この値は,これまでに知られている値とよく一致した.一方,ガラス成分に対するβは,本研究により初めて得られ,1程度であることが判明した.
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