研究概要 |
テトラヒドロフランのリビング重合を行い、引き続きN, N-ジメチルアミノトリメチルシランを加えることにより、ワンポットで脂肪族性アイオネンエラストマーを合成できることを見出した。そして、核磁気共鳴スペクトル分析、赤外吸収スペクトル分析、元素分析により、モレキュラーキャラクタリゼーションを行うとともに示差走査熱量分析、動的粘弾性試験、引張試験、小角x線散乱測定をおこなって、得られたアイオネンフィルムの特性化を行った。また、分子量の異なるポリ(オキシテトラメチレン)鎖と4, 4'-ビピリジニウム単位からなる4種類のアイオネンエラストマーを合成した。そして、モレキュラーキャラクタリゼーションを行った後、溶媒キャスト法にてフィルムを作製した。示差走査熱量分析、動的粘弾性試験、引張試験を行うと共に小角x線散乱測定をシンクロトロン放射光を用いて行い、得られた小角X線散乱プロファイルにカスケード理論をべースとし、Debye-Buecheランダム二相モデルおよびドメイン間相互作用関数を組み合わせたモデルを当てはめ、モルフォロジーに関する構造パラメーターを求めた。イオン点間分子量が約6000で塩素アニオンの試料の場合、メタノールやクロロフォルムをキャスト溶媒としたアイオネンエラストマーの方がテトラヒドロフランをキャスト溶媒とした試料フィルムより、イオンセグメントの凝集が進行して大きなドメインが形成され、イオン点間距離も大きいことが分かった。この高次構造の違いは力学特性にも現れて、前者の試料の方が高強度エラストマーとなることが分かった。
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