カスケード理論による多相系エラストマーの高次構造解析の有用性を明らかにするために、ポリマーの種類をブチルゴム-グラフト-ポリ(エチレンオキシド)や糖を側鎖に有するブチルゴム誘導体などの両親媒性エラストマー、および、ビオローゲン単位を有するアイオネンエラストマー、脂肪族系アイオネンエラストマー、さらに、ポリ(オキシテトラメチレン)とシリカ成分からなる有機/無機ハイブリッドエラストマーに広げて研究を行った。試料の小角X線散乱プロファイルに提案したカスケード理論に基づく新規モデルを当てはめた結果、ナノオーダーで凝集部のドメインの大きさやドメイン間距離、さらに、ドメイン間の相互作用距離を求めることができた。これは、これまで透過型顕微鏡観察で分析が困難であったエラストマー材料の高次構造を明らかにする上で有用な方法であることが判った。また、得られた結果と多相系エラストマー材料の熱特性や機械的特性を関係付けて、高次構造と物性の相関を明らかにした。本研究の成果は、機能性エラストマー材料の分子設計に有用な知見となると考えられ、高分子材料科学、特に、エラストマー材料の科学と工学の発展に寄与するであろう。
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