本研究では側鎖に光架橋性メソゲンを有する高分子液晶を用いた配向フイルムに関する研究をおこない、その大きな面内配向および面外配向を3次元的に制御を行った。そこで、光架橋性基であるメトキシシンナモイルビフェニル(MCB)基と反応しないメトキシビフェニル(4MB)基を有する高分子液晶共重合体を合成し、それらの光-熱誘起配向について検討した。その結果すべての共重合体は液晶性を示し、その配向挙動は共重合比により大きく異なることが判明した。すなわち石英基板上に薄膜形成しこれに偏光紫外線露光、加熱処理によってメソゲンの配向を誘起した場合、側鎖に4MBを共重合するとMCBのみのホモポリマーにくらべ面内配向度は0.71に向上した。これは4MB基がMCBと協調的に再配向したためである。一方、4MB含量が多くなると面外配向の傾向が大きくなり90%以上含有の共重合体では面内配向はほとんど生じず面外配向度が0.76と支配的になった。また、斜め方向から光照射すると光架橋した基をコマンドとして面内・面外両方向へ斜め配向された。このように共重合比をかえることによってメソゲン側鎖のフイルム中での3次元配向の方向制御を実現した。
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