最近、遺伝子工学的手法を用いてヤギのミルクからクモの糸を作ることか可能になってきたことから、クモの糸はストッキング・防弾チョッキ、縫合糸などへの応用面で注目を浴びている。しかし、遺伝子工学手法から作られるクモの糸は、現実のクモの糸の特徴をすべて反映しているとは考えられない。興味深い非晶性のクモの糸の性質を知るには、分泌腺内での液状の性質を理解することが不可欠と考えられる。ところが、クモの小さな体内の解剖は人間より難しく、悪戦苦闘の末、やっと、分泌腺内の物質を分離することが可能になった。また、解剖には微妙なテクニックが必要であり、また、分子量を測定する条件が確立できるようになってきた。今回の実験から、分子量が約27万であることが分かったのは大きな成果である。 本研究では、分子量測定の条件の確立とともに、クモの糸の弾性率の決定および糸に対する紫外線照射による影響、さらに、クモの糸との関連でミノムシの糸の弾性率を決定することができた。
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