安全性とヒューマンファクターの関係に基盤をおいた陸上からの船舶安全管理

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13650968
• 研究機関: 神戸商船大学
• 研究代表者: 井上 欣三 神戸商船大学, 商船学部, 教授 (00031477)
• 研究分担者: 臼井 英夫 神戸商船大学, 商船学部, 助教授 (60232831) ; 古荘 雅生 神戸商船大学, 商船学部, 助教授 (80243335) ; 嶋田 博行 神戸商船大学, 商船学部, 教授 (50162681) ; 矢野 吉次 神戸商船大学, 商船学部, 助教授 (10174567) ; 世良 亘 神戸商船大学, 商船学部, 助教授 (20294259)
• キーワード: 安全性 / 定量評価 / 船舶管理 / 船陸間データ通信 / ヒューマンコンフリクト

研究概要

本研究は、衛星パケット通信技術を活用した船陸間通信ネットワークを神戸商船大学付属練習船「深江丸」(450GT)と大学内基地局との間に確立することを第一の目標とし、このプロトタイプ実験システムの運用のなかで船舶の安全運航を陸上から支援するために必要となる、あらゆる操船局面における安全水準を定量的に評価するアセスメント技術を開発することを第二の目標とした。
第一の目標については、平成13年度中にNTT DoCoMo Packet Networkへの参加契約を締結するとともに、深江丸船内LANを通じたデータ収集システムと大学基地局における通信管理システムならびにアセスメントシステムとの全体結合を終えた。これにより平成14年度当初より試験運用の段階に至り、実用に適するソフトウエアの改善にも手を加えた。
第二の目標については、深江丸から送信される船体運動データならびに周辺交通環境データを陸上側でモニターし、これらのデータを分析して安全管理情報に加工するための要素研究を進めた。具体的には、港湾における操船とバースへのアプローチ操船、錨泊、そして、狭水道交通輻輳域での避航操船等について安全評価定量化モデルを開発し,それぞれ航海学会等に発表した。
現在、神戸商船大学付属練習船「深江丸」(450GT)と大学内基地局との問に衛星パケット通信技術を活用した船陸間通信ネットワークが稼動状態にあり、平成14年度末には、友が島水道及び大阪湾を航行中の深江丸の運航を本システムのもとで陸上から支援する実験を実施した。この実験を通じて本システムの実用化に向けてのハード的ソフト的問題点を抽出し、管理する側と管理される側のヒューマンコンフリクトの問題点についても検討を行った。この成果については航海学会に投稿中である。

研究成果

• [文献書誌] 井上欣三他: "ITとATを融合した陸上からの船舶運航管理システムに関する研究"第9回神戸商船大学研究発表会要旨集. 9. 1-3 (2001)
• [文献書誌] Pedersen E., INOUE K.et al.: "Evaluation of a Radar Plot and Display Technique for Anti-collision Assessment of Multiple Targets in True Vector Representation by Application of the Environmental Stress Model"The Journal of Japan Institute of Navigation. 106. 1-12 (2002)
• [文献書誌] Pedersen E., INOUE K.et al.: "On Decision Making in Connection with Optimal Anti-collision Manoeuvres by High Speed Craft in Waters Congested by Conventional Speed Vessels"The Journal of Japan Institute of Navigation. 107. 177-183 (2002)
• [文献書誌] INOUE K. et al.: "Development of an Integrated Simulation System for Analyzing the Swinging Movement of a ship at Anchor and its Application for Educational Use"The Journal of Japan Institute of Navigation. 107. 121-126 (2002)
• [文献書誌] 臼井英夫, 井上欣三: "操船困難性を考慮した港口部設計手法"日本航海学会論文集. 106. 207-215 (2002)
• [文献書誌] 井上欣三他: "アプローチ操船時の速力低減ガイドラインに関する研究"日本航海学会論文集. 107. 169-176 (2002)
• [文献書誌] 井上欣三他: "操舵操船に関する視覚教材の開発とその教育効果"日本航海学会論文集. 108(印刷中). (2003)
• [文献書誌] FURUSHO M: "Visual Environment and Sight-Line Displacement of Navigation Officers for Good Lookout"J. Light & Vis. Env. The Illuminating Engineering Institute of Japan. 25・1. 43-48 (2001)
• [文献書誌] FURUSHO M: "Visibility Level at Sea"J. Light & Vis. Env. The Illuminating Engineering Institute of Japan. 26・3. 24-29 (2002)
• [文献書誌] 古荘雅生, 嶋田博行他: "船尾灯の視認に関するヒューマンエラー"日本航海学会論文集. 107. 61-69 (2002)
• [文献書誌] 嶋田博行: "ヒューマンエラーと管理"日本航海学会誌NAVIGATION. 149. 75-82 (2001)