研究概要 |
3成分の弾性波信号において, 縦波等と混合して観測した楕円に偏波した弾性波を独立成分解析により検出した。独立成分解析では, 4次のキュムラントkurtosisを評価関数にし, その評価関数の極値を不動点法で探索した。Kurtosisが極大あるいは極小になる時, 推定信号は源信号に一致する。推定した信号と推定した信号の位相を90度シフトした信号の相互相関係数により, 楕円に偏波した弾性波が入力している時間帯を検出した。本手法の有効性を計算機で合成した楕円に偏波するトーンバースト波によりまず確認した。その推定結果には, 相互相関係数の推定に使う窓関数の長さに相当する推定誤差があった。次に, 本手法をき裂波の検出に適用した。き裂波は地下き裂に沿って伝搬する弾性波であり, その粒子運動は楕円である。き裂波は速度が縦波等より遅いためき裂波は縦波等に埋もれて観測される。これまでハイドロフォンを使ったき裂波計測ではき裂波の入力時刻を検出できるが, 3成分弾性波計測だけではき裂波の入力時刻を検出できなかった。本手法を3成分弾性波検出器で計測したき裂波に適用した結果, その推定したき裂波の入力時間帯はハイドロフォンで検出したき裂波の入力時間によく一致していた。一方, 独立成分解析のみでは, き裂波の入力時刻を正しく検出できなかった。これは, 独立成分解析で仮定する信号の数が, き裂波計測で測定した信号の数より多いためと考えられる。 本補助金で購入した設備備品の計算機とソフトウエアを使って, 解析プログラムを作成し解析した。
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