研究概要 |
1.USBMの鉱山コストデータベースに基づき,各鉱山の採鉱法,生産規模などの条件から採鉱部門と選鉱部門における使用機材及び消耗品のコストを推定し,その鉱山の立地する地域の物価などからそれらを量に換算し、その鉱山のCO_2排出源単位を計算するデータベースを作成した. 2.米国のヘンダーソン鉱山(ブロックケービング,モリブデン)及びクレッソン鉱山(露天掘,金)において実地調査を行い,各種データの収集を行った.また、チリのチュキカマタ鉱山(露天掘,銅),及びコロンビアの銅の小規模坑内掘鉱山に関しては、以前調査したデータを,今回の研究に使用できるようまとめ直した. 3.上記4鉱山中クレッソン鉱山に関しては現地でも充分なデータが把握されておらず,厳密な比較検証が行えないため,充分なデータが得られた残りの3鉱山に関し,CO_2排出源単位を計算するデータベースから計算したCO_2排出源単位を,実際に現地において調査した物品使用量及びコストデータから計算したCO_2排出源単位と比較したところ、個々の項目では若干の食い違いがあるものの、全体としては10%以内の精度でCO_2排出源単位を推定できた. 4.この結果,従来の各金属のCO_2排出源単位の20%〜30%に相当するCO_2が,従来は誤差範囲として無視されていた資源開発の採鉱及び選鉱プロセスから排出されている可能性があることが分かった.また,鉱床の形態や採鉱法によりCO_2排出源単位にかなりの差があることが分かり,環境コンシャスな社会において従来とは異なる合理的開発順序が推奨される可能性が示された.
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