研究概要 |
昨年度のCO_2に続き,資源開発に伴い排出される環境負荷物質としてSO_2などの硫化物と重金属に着目しLCAを行った.旧USBMの鉱山コストデータベースに基づき,各鉱山の採鉱法,生産規模などの条件から採鉱部門と選鉱部門における使用機材及び消耗品のコストを推定し,その鉱山の立地する地域の物価などからそれらを糧に換算し,その鉱山のSO_2排出源単位を計算するデータベースを作成した.米国のヘンダーソン鉱山(ブロックケービング,モリブデン),チリのチュキカマタ鉱山(露天掘,銅),及びコロンビアの銅の小規模坑内掘鉱山に関して,以前調査したデータを,硫化物の排出量原単位が計算できるようにまとめ直し,SO_2排出量原単位を求めた.SO_2排出源単位を計算するデータベースから計算したSO_2排出源単位を,実際に現地において調査した物品使用量及びコストデータから計算したSO_2排出源単位と比較したところ,CO_2の場合に比べかなり適合度が落ちることが判明した.また,Cu, Pb, Zn, Cd, As, Fe, Mn, Hgの8種類の重金属に関して,金属工業事業団のデータに基づき国内休廃止鉱山からの流出量を坑廃水処理の前後において調査し,エコインディケータの変化量を求めた.坑廃水処理を行わない場合の環境負荷は坑廃水処理の環境負荷に比べ2桁ほど大きいので,坑廃水処理を行うことの重要性が認識された.エコインディケータで見た資源開発の環境負荷は,開発時のみならず閉山後も非常に大きいため,資源開発の環境負荷を評価するためには閉山後の坑廃水処理まで含めた環境負荷総量を考慮する必要があることが判明した.
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