研究概要 |
水環境調査に有効な地盤計測手法として、磁場偏差を観測する電磁探査手法を提案し、地下浅部探査法としての優位性や特徴を、数値シミュレーションにより明らかにした。 主な結果を列挙する。 1)磁場偏差の応答は、磁場の応答に比べて極めて微弱である。そのため、,測定限界の時間が磁場測定より早くなり、可探深度は小さくなる。しかし、その問題は、送信ループや送信電流、受信点間隔を大きくすることによって、解消することができる。 2)磁場偏差を測定する手法は、磁場を測定する手法より異常層(1次元)や異常体(3次元)の検出能力が高い。 3)磁場偏差データを用いる解析は、一般に電磁探査で弱点とされる、低比抵抗大地中の高比抵抗層の検出能力が高い。 4)地下浅部の調査においては、磁場偏差データによる解析の方が、磁場データによる解析に比べ、構造分解能が高い。 磁場偏差応答は極めて微弱となることから、高感度の受信センサーが要求される。そこで、高温超電導磁力計(住友電工ハイテックス社製SEIQUIDII相当)を採り上げ、野外において特性試験を行って、電磁探査用磁力計としての可能性を検討した。その結果、最小感度は約0.85pT/√<Hz>であり、磁場偏差の測定は可能であることが明らかとなった。また、周波数帯域はDC〜100kHzであり、野外仕様に変更するなどの比較的簡単な改良により、周波数領域の電磁探査に適用可能である。ただし、100kHz以上の周波数の強い信号が加わると動作が不安定となるため、時間領域の電磁探査用センサーとしては、測定困難になることが予想され、開発課題が残されていると考えられた。
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