電磁探査法を、土壌・地下水汚染や埋設物等、地下浅部調査への適用を容易にするためには、小型で取り扱いが簡単、かつ安価な受信センサを開発することが必要不可欠である。 本年度は、超小型・軽量の磁気センサとして開発著しい、巨大磁気抵抗(GMR)素子および磁気インピーダンス(MI)素子の基本的特性を検討し、さらに、それらを使用した磁力計を作成し、その試験結果をもとに、電磁探査の受信センサとしての適用性について考察した。 結果は以下のようにまとめられる。 1)GMR素子出力の1軸性とヒステリシスの影響を低減し、直線性の高い磁場-出力電圧特性を得るためには、永久磁石などによる50e程度のバイアス磁場が必要である。 2)MI素子の直流磁場、正弦波磁場に対する磁場-出力電圧特性は、良好な線形性を示した。 3)フェライトを付加すると、感度は約6倍以上向上し、十分な効果が得られた。 4)周波数帯域はOPアンプの周波数帯域(〜10kH程度)よりも広いことが確認された。 5)GMR磁力計の最小感度は0.1nT程度であり、これは、従来から用いられているフラックスゲート磁力計等と同等の感度である。MI磁力計の最小感度は1.3nT〜4nT程度とGMR磁力計に比べて低感度であったが、これは、素子内部からのノイズの影響が大きいためと考えられた。 6)スタッキングによるランダムノイズ低減の試験では、S/Nを20倍程度向上させることができた。 GMR素子・MI素子ともに、高透磁率材料の使用、スタッキング処理等を行えば、さらに感度を上げることができる。また、素子自体の周波数特性は、カタログ公称値で1MHzから数MHzにも及び、超小型で安価(10〜100$)なため、複数個の素子を使用して、高感度・小型・安価な電磁探査用の磁力計システムを構築することは十分に可能であると考えられた。
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