本研究ではUV-Bシグナル伝達経路の解明を目的とし、紫外線UV-Bにより発現上昇する転写因子GmMYB29B1を「つりエサ」としてこれを認識するタンパク質を同定する為にYeast two-hybridシステムを用いた実験を進めた。Yeastの転写因子であるGAL4のDNA結合領域(BD)にGmMYB29B1のコード領域(B1)をつないだプラスミド構築と、GAL4の転写活性化領域(AD)にターゲットとなる任意のcDNA(X:ダイズ胚軸由来の約100万個のcDNAのライブラリー)をつないたプラスミド構築を行った。Yeast細胞内においてGmMYB29B1を認識するcDNAをスクリーニングする作業を開始したところ、BD-B1が単独で転写機能を発現を誘導し、そのままてはスクリーニングを行うことが出来ないことが判明した。そこで転写活性化機能をを削除したB1変異体の作製を試みた。その結果、B1のC末端側の特定領域の酸性アミノ酸を置換することによって機能が著しく減退することが判明した。現在はこのようにして得られたB1変異体を用いたスクリーニングを行っている。また、ダイズにおけるChryptochrome遺伝子の分子的解析とそのUV-Bシグナル伝達との関わりを解析することを第二の目的とし、ダイズChryptochrome遺伝子のクローニングと発現解析を行った。その結果、ダイズのCryptochromeは少なくとも4コピーの遺伝子によりコードされており、その内の3コピー(GmCRY1、GmCRY2、GmCRY3)はアラビドプシシスのAtCRY2に高い類似性を示し、もう一つ(GmCRY4)はAtCRY1に高い類似性を示すことが明らかとなった。また、上記4コピーの遺伝子のうちGmCRY1、GmCRY2、GmCRY4はダイズ芽生えの下胚軸において光照射の条件に関わりなく定常的な発現を示したが、GmCRY3はBlue/UV-Aを含む光照射により発現上昇することが判明した。
|