1、ダイズにおける紫外線UV-B応答性MYB転写因子GmMYB29B1の機能解析 (1)転写因子GmMYB29B1の転写活性化機能を担ったドメインを酵母の実験系で探索したところ、C末端における30アミノ酸残基が必要かつ十分であることが判明した。 (2)大腸菌で発現させたGmMYB29B1のDNA結合領域はターゲット遺伝子CHS(chalcone synthase)のプロモーターに存在するH-box配列を特異的に認識することがin vitro実験系(EMSA)で明らかとなった。 (3)マメ科植物のウイルスベクター(pClYVV)にB1を挿入したプラスミド構築を作成し宿主ソラマメに接種したところ、アントシアニン蓄積量とCHS発現量の増大が見られた。これより、B1がin vivoにおいてもCHSの発現調節因子として働くことが明らかとなった。 以上の結果については現在修正論文を作成中である。 2、窒素栄養欠乏応答性MYB転写因子の遺伝子クローニング (1)窒素栄養欠乏応答性MYBとしてミヤコグサより3つの遺伝子(LjMYB101、LjMYB102、LjMYB103)、ついでLjMYB101にオーソロガスなダイズ遺伝子(GmMYB101)を単離した。これらは全てMYBスーパーファミリーのグループ10に属し、機能的に関連した遺伝子群であることが示唆された。 (2)LjMYB101は地下部、LjMYB103は地上部において、それぞれ窒素栄養欠乏に応答した顕著な発現上昇を示した。両者は系統的にも極めて近縁であり、マメ科植物において組織特異性を獲得して機能分化したものと推測された。 (3)大腸菌で発現させたLjMYB101のDNA結合領域はGmMYB29B1と同様にH-box配列を含むMYB Type IID配列を認識した。LjMYB101はこれに同調して発現上昇するCHSとGln1の転写因子として働く可能性が示唆された。 以上の結果については2003年に論文として掲載された。
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