研究概要 |
本実験では、一年生ブロッコリー品種'グリ-ンコメット'×二年生キャベツ品種'麗峰'のF2集団を用い連鎖地図を作成し、マッピング及びクローニングしたFLC、COと開花期QTLとの関連を調査した。 1.Brassica oleraceaでは、既報の3つのFLC遺伝子ホモログ(BoFLC1,3,5)が報告されているが、今回新しいFLC遺伝子ホモログを同定できBoFLC2とした。 2.157マーカーが座上し、15本の連鎖群を形成した(全長は1196.3cM)。マーカー数が少ない連鎖群を除くと主要な連鎖群は9本となった。これはB.olerecea(2n=18)から考えられる連鎖群数9本と等しい。この連鎖群には既報のシーケンスを元に43個の構造遺伝子がマッピングされた。 3.開花関連遺伝子は第1連鎖群にFLC5、CO、第2連鎖群にFLC1、FLC2、第6連鎖群にFLC3がマッピングされた。インターバルマッピング法により閾値LOD3.0以上の開花期関連QTLは第2連鎖群に3ヶ所、第3連鎖群に1ヶ所、第5連鎖群に2ヶ所検出することができ、それぞれのQTLをFT1〜6とした。FT3はFLC2のほぼ異上にLODピークが検出されたことからFLC2は本実験のF2集団における開花変異に影響を及ぼしていると推測された。 4.本研究の結果、各研究者間でマップ情報の共有化が計れる構造遺伝子が乗ったB.oleraceaの連鎖地図を作成できた。またバーナリゼーション関連遺伝子FLCの新しいホモログ(BoFLC2)を同定するとともに、既報のFLCホモログを含め、全部で4個のFLCホモログを連鎖地図上へマップすることができた。これによって、開花期決定に効果的に働くFLCホモログと効果の小さいFLCホモログがあることがわかった。本実験のマップ情報及びFLCの遺伝子マーカーはB.oleracea育種のマーカーアシストセレクションに極めて有効であると思われた。
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