研究概要 |
1.コムギの5A,5D染色体上でVrn-1座近傍にマップされているRFLP遺伝子座領域をPCR増幅し,塩基配列を解析した.その結果,Xwg644に対応する増幅産物において(TG)及び(A)の反復数などが異なる3タイプの配列が見出され,(TG)_3型配列が5B染色体特異的であることが判明した.そこで,'Triple Dirk'の準同質遺伝子系統のうちVrn2型のTD(B), Vrn4型のTD(F)及び全劣性型のTD(C)の計3系統について(TG)_3型配列を比較したところ,SNP多型が検出され,dCAPSマーカー化に成功した.TD(B)×TD(C)のBF_2世代で播性とdCAPS多型を解析した結果,Xwg644-5B座とVrn2間で1.7cMの連鎖が確認された.従って,Vrn2がVrn-B1に相当すること,及びdCAPSマーカーXwg644-5BをVrn-B1の選抜マーカーとして利用できることが明らかである. 2.秋播型アブクマワセ×チホクコムギのF_1から作出したDH85系統を作出し,出穂特性の遺伝様式を解析した.春化反応は,DH系統では小:中:大の3群に分けられ,分離比が4:3:1に適合したことから,3遺伝子の関与が示唆された.日長反応性は両親系統ともに不(弱)感光性と考えられたが,DH系統では3.5日(8160)1643.5日の超越分離が認められ,不(弱)感光性:感光性が7:1に分離した.従って,秋播型アブクマワセ,チホクコムギは互いに異なるPpd遺伝子を保有し,どちらかの品種が2つのPpd遺伝子を保有すると考えられた.
|