そばアレルギーは、患者ごとに多様性があり、幾つかのタンパク質がアレルゲンとして考えられている。先の研究において、クローンニングしたソバアレルゲン蛋白質BW24KDの大腸菌発現タンパク質を患者血清と反応させた結果、ソバ種子より単離したBW24KDのそれより反応性が低かった。反応性の低い原因として相同遺伝子の存在、タンパク質の修飾が考えられた。本研究ではソバ未熟種子のcDNAライブラリーよりBW24KD遺伝子をプローブとして相同遺伝子のクローニング・塩基配列の決定を行なった。先にクローニングしたBW24KDと75%相同性を示す遺伝子のBW24KD相当領域を大腸菌発現ベクターへ組込み、蛋白質発現を行なった。タンパク質の修飾に関しては酵母・植物でのBW24KD発現ベクターの構築を行った。この発現ベクターをソバで発現させるために簡便な形質転換系の検討を行った。ソバでは組織培養ならびにPrick法によるソバの形質転換系の報告があるが、ソバの形質転換をより簡便に行うためこれらの方法とともに減圧湿潤法・Infiltration法を用いた形質転換法を検討した。GUS活性を用いて形質転換効率を求めた結果、Prick法・減圧湿潤法・Infiltration法ともGUS活性を示す個体が得られた。なかでもInfiltration法は、植物体の枯死が少なく効率も高かった。現在これらの系を使用し、形質転換体を作成中である。また新たにソバアレルゲン蛋白質BW8KDのクローニングを行い、大腸菌での発現系を構築中である。
|