そばアレルギーは、患者ごとに多様性があり、幾つかのタンパク質がアレルゲンとして考えられている。本研究では新たにそばアレルギー患者血清と反応のあったBW8KDタンパク質の解析を試みた。判明したN末端アミノ酸配列よりDNAプライマーを作成し、RT-PCRを行なった。PCR産物をクローニングし、塩基配列を決定した結果、BW8KDのアミノ酸配列と一致した。BW8KD遺伝子は予想されるアミノ酸配列より、相同性・保存されたシステイン位置により2Sアルブミンタンパク質であることが判明した。2Sアルブミンタンパク質は植物種を問わず広く知られている主要な種子貯蔵タンパク質の一つであり、ブラジルナッツやピーナッツ等のアレルゲンであることが判明している。BW8KDの全長を大腸菌発現ベクターへ組込み、蛋白質発現を行なった。大腸菌で発現したタンパク質とそばアレルギー患者血清と反応させた結果、患者により反応性が異なったが、非常に強く反応する試料もあった。このことからソバの2Sアルブミンタンパク質はソバのアレルゲンであることが判明した。
|