研究概要 |
葉身の形態が大きく異なるイネ13品種(C-115,ニシホマレ,オオチカラ,BG-1,コシヒカリ,コガネマサリ,BG-4,アキヒカリ,新大黒,短銀坊主,H-342,細葉,新細葉)を用いて,葉面積,草丈,茎数,葉数などの形質が,個体あたりの蒸散量におよぼす影響について調査した.測定は,各品種の出穂日から20日間の積算蒸散量を重量法で行い,ろ紙蒸発計で同時に求めた蒸発要求量で除して柑対蒸散量を求めた.相対蒸散量および各形質について分散分析を行ったところ,品種間差異が年次や播種日よりも大きな分散を示した.各形質と柑対蒸散量との間の偏相関係数を求めると,草丈と葉数とは正の有意な偏相関を示したが,葉面積とは偏相関を示さなかった,草丈と相対蒸散量との間には正の偏相関があり,草丈の高い品種はと相対蒸散量は高かい傾向を示した.さらに詳しく検討すると,BG-1,コシヒカリ,アキヒカリ,新大黒,短銀坊主,H-342,,細葉(品種群Aと呼ぶ)のみに有意な正の相関があり,品種群Aによって得られた回帰直線に平行にBG-4,コガネマサリ,ニシホマレ,オオチカラ,新細葉(品種群B)が分布し,さらに品種群AとBに平行にBG-1とC-115(品種群C)が分布した.各品種群別に葉面積,茎数,葉数を検討したところ,葉面積は群間に有意差はなく,茎数は品種群Aが有意に多く,葉数はA, B, C間に有意な群間差が示された.これらのことから,相対蒸散量は草丈が高いほど高い値を示すが,葉数が異なるときには,葉数が多いほど大きくなることが示唆された.
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