研究概要 |
本研究はダイズにおける花器脱落を個体の適応戦略としてとらえ、花器脱落の機作を作物学的に解明しようとする。個体の莢数が決定される過程すなわち花器の分化・発育から開花・脱落までの過程と収量性との関係を総合的に明らかにすることを目的とする。 具体的には、(1)花房の着生位置・次位からみた花芽の分化と発育、(2)花房の着生位置・次位からみた開花ならびに花器脱落の推移、(3)光合成・物質生産と開花・花器脱落の関係、について検討を加える。 本年度の研究実施 ダイズ祖先野生種ツルマメ(Glycine soja Sieb et.Zucc.)2系統供試し、生育・開花結実特性及び葉の光合成速度に着目して栽培種との比較を行った試験結果について検討した。 その結果、野生種から栽培種への長い馴化の過程で蔓性が無くなり、分枝・椏枝の発達が抑制され、節数が減少した、低次位から高次位へと進行する開花習性は変わらず、花蕾数は大幅に減少し、結莢率が高くなった、収量特性からみて莢数が減少する一方で一粒重が増加して収量が確保される、光合成速度は高くなり葉面が大きく高い乾物増加速度が維持される、子実タンパク含有率はやや低い傾向にあるが油脂含有率は高くなった、などの結果が得られた。 以上の他(1)ダイズ花房内位置による開花・結莢の相違,(2)土壌水分の欠乏がダイズの開花結実に及ぼす影響,(3)シンク/ソースの切除がダイズの生育収量に及ぼす影響などについても実験を行い一部については報告もしているが詳細は目下解析を進め、次年度以降の課題である。
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