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2002 年度 実績報告書

高品質ブルーベリー果実の生産と特性の評価

研究課題

研究課題/領域番号 13660020
研究機関筑波大学

研究代表者

弦間 洋  筑波大学, 農林学系, 教授 (70094406)

キーワードブルーベリー / アントシアニン / 高品質果実 / MAP / 抗酸化 / 鮮度保持 / HPLC / アグリコン
研究概要

高品質ブルーベリーを生産する上で、その特性を明らかにする必要がある。今日、ブルーベリー果実の高アントシアニンが抗酸化性を有することが脚光を浴びているが、本研究では、ハイブッシュブルーベリーとラビットアイブルーベリーを用いて、収穫果実の鮮度保持におけるプラスティックフィルム包装の影響と、その際に変化するアントシアニン含量について詳細に検討した。用いたプラスティックフィルムはPE(ポリエチレン)20μm厚と、同資材に10%の割合で多孔質材を練り込んだフィルムである。対照として無包装の区を設け、100g入りプラスティックトレイに入れたブルーベリー果実を上記のMAP(フィルムで天蓋包装あるいは蓋なし)で、4℃下で保蔵した。協試した品種は'Herbert'及び'Tifblue'の未熟(果実表面の着色が50%以下-Stage4〜5)及び成熟(概ね着色完了-Stage7〜8)果である。
保蔵試験の結果、未熟果では経時的に果実硬度は漸減したが、成熟果ではほぼ一定であり、MAPによる違いは見出せなかった。可溶性固形物量はMAPで高く保持され、酸度には差がないものの、甘味比は成熟果でPE包装で0.86を示した。官能テストではPEのみの包装果実が多孔質練り込みPE包装果実に勝った。糖質はフラクトースとグルコースがほぼ1:1で存在したが、未熟果では経時的に漸増するいずれの糖質もMAPで高く保持された。一方、成熟果ではMAPの有無に係らず漸減した。アントシアニン含量は未熟果では採取当初と比較して、保蔵期間中に飛躍的に増加し、成熟果では緩やかに増加したが、未熟果、成熟果とも、MAPによってその増加が抑制される傾向が認められた。
フォトダイオードアレイ式HPLCによって個別のアントシアニンを同定した。すなわち、主要なアントシアニンはMalvidin-3-monogalactosideで、次いでDelphinidin-3-monoarabinoside、Malvidin-3-monoglucoside、Delphinin-3-monogalactoside、Malvidin-3-monoarabinoside、Petunidin-3-monogalactoside、Petunidin-3-monoarabinosideが検出できた。その他、リテンションタイムの遅いピークが3つ、さらにアグリコンがCyanidinの配糖体が認められた。しかし、Peonidinは検出できなかった。これらのアントシアニンのうち、未熟果ではMalvidin-3-monogalactosideが漸増し、一方Petunidin-3-monogalactoside及びPetunidin-3-monoarabinosideが漸減した。成熟果では無包装の場合、Petunidin-3-monoarabinoside、Delphinidin-3-monogalactoside、Malvidin-3-monogalactoside、Malvidin-3-monoglucosideが顕著に増加した。これに対し、MAPによってDelphinidin-3-monogalactoside及びMalvidin-3-monogalactosideは若干、漸増するものの、その他のアントシアニンはほぼ一定であった。すなわち、MAPによる鮮度保持効果を明らかにすると同時に、個別のアントシアニンの増減を認め、主要な構成アントシアニンの代謝についても言及できた。これらの知見は高品質ブルーベリーの生産ならびに品質保持のための基礎資料として今後、有用されると思われる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] G.Piller, M.Fukushima, S.Iwahori: "Growth responses of three New Zealand northern highbush blueberry cultivars ( Vaccinium corymbosum) to nutrient availability"J. Japan. Soc. Hort. Sci.. 72・1. 13-17 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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