研究概要 |
積極的な気温低下を図る噴霧装置を作成するに当たって、まず夏秋期の結実不良をひき起こす限界温度を明確に知る必要があった。そこで、箱植えで栽培している品種'雷峰'の2年株を、気温を4ないし5段階の制御した自然光型環境調節ガラス室へ搬入して、花房の分化・花粉の生死・クロロフィル蛍光を指標として、温度限界および適温範囲を検討した。温度制御は昼夜温度の組み合わせであり、昼/夜の表示で表した。 1、7月下旬から15日間、37/25,32/25,27/22,22/17,17/12℃の5段階の気温で成育させたときの葉のクロロフィル蛍光を測定し、量子収率(Fv/Fm)および光量子あたりの電子伝達率(ΦPSII)を求めた。量子収率は37/25の高温で明らかに低い値であり、電子伝達率は37/25の高温と17/12の低温で低かった。37℃では光合成の面からも機能阻害を起こしていると考えられた。 2、8月上旬から2ヶ月間、32/25,27/22,22/17,17/12℃の気温で成育させて、花房分化の連続性を検討した。32/25,27/22℃では花芽分化が継続しなかったが、22/17,17/12℃では3葉を展開すると花房が出現して連続した。 夏秋期の果実が結実不良である要因の一つに、栄養不良が関与しているとの仮定の下で、光合成増加を図る炭酸ガス施用を試みた。栽培ハウスで実施する前に環境制御下で精密試験を行った。高温条件として32/27℃を選定し、炭酸ガス濃度を700ppmとした場合と、無処理の大気条件とした場合で、結実不良果の発生を調べた。2年株については8〜10月の間、1年株については1月から2月までの収穫果実にりいて調査した。種子の発育不全に起因する結実不良果は1年株については炭酸ガス施用で発生程度が少なくなったが、基本的には別な要因が大きいと考察された。
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