研究課題/領域番号 |
13660022
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
油井 正昭 千葉大学, 園芸学部, 教授 (80009331)
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研究分担者 |
多田 充 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (10302580)
小林 達明 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (40178322)
古谷 勝則 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (10238694)
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キーワード | 草原 / 生物多様性 / 植生景観 / 樹林化 / GIS |
研究概要 |
二次草原の維持は、人的、金銭的に困難な状況にある。霧ケ峰では1,000ha以上の二次草原があり、鎌倉時代から採草、放牧がなされていたが、現在では一部を除き行われていない。そのすべてを維持することは困難な状況にある。今後、二次草原の持つ価値を評価し、効率的に管理・保全することが求められている。そこで、本研究では、まとまった二次草原の残っている八ケ岳中信高原国定公園霧ケ峰地区を対象に、二次草原のにおける生物多様性の維持と景観保全に考慮した植生景観管理方法を明らかにすることを目的に研究している。 研究の方法は、霧ヶ峰における二次草原の土地利用の変遷を把握するために、既往文献調査と明治時代以降の5万分の1地形図のGIS解析により、伝統的土地利用の定量的な把握を試みた。 伝統的土地利用方法の模索は江戸時代初頭に始まり、入会権、採集物、採集時期の取り決めが試みられ、18世紀末までにかけて二次草原の資源を継続的に有効活用する方法を確立してきた。二次草原の現象を面積的に見ると植林地への変化が多く、1911〜1990年の間に38%が針葉樹林に変化している。一方で、11%が広葉樹林に変化しており、遷移が進んだ地域も多くある。この減少の主な原因は、明治末期、第二次世界大戦後の採草資源の低下に伴うものであるが、官民林区分、農地解放による土地所有の変化が利用の転換を促したことが明らかになった。江戸期に見られた入会地の水田開発、植林は所有村も許されない取り決めは農地解放まで続いた。入会村にも一定の権利があることが土地のシステムを安定させてきた。現在の二次草原は牧野組合内で共有しており、二次草原を保全するには、土地所有者との協定、土地の取得が必要である。
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