サイトカイニン、ジベレリン(GA)およびオーキシン処理がキウイフルーツ'ヘイワード'の単為結果誘起に及ぼす影響をみるため、0.1、1および5ppmのホルクロルフェニュロン(CPPU)、1000ppmのゼアチン(Z)、ゼアチンリボシド(ZR)、GA_3および50ppmナフタレン酢酸(NAA)の単用処理、ならびに1000pmGA_3と50ppmNAAとの混用処理を、柱頭を切除した子房に開花直前と開花1週後の2回行った。また、開花直前に1000ppmGA_3または50ppmNAAを処理し、開花1週後に異なる濃度のCPPU処理を行った。その結果、1ppmおよび5ppmのCPPU単用処理とZ、ZRおよびGA_3単用処理では単為結果が誘起されたが、CPPU単用処理以外では着果率が低く、果実肥大も劣り、CPPUの0.1ppm単用処理とNAA単用処理では単為結果は誘起されなかった。しかし、GA_3とNAAとの混用処理やGA_3あるいはNAAを処理した後に0.1ppmのCPPUを処理すると単為結果が誘起されるとともにGA_3の単用処理に比べて着果率が高くなり、特にNAAを処理した場合は果実肥大も促進された。したがって、キウイフルーツ果実の着生には主にサイトカイニンおよびGAsが関与し、オーキシンは単独では着果に関与できないが、GAsまたはサイトカイニンに対して相乗的に着果割合を高め、一方、果実の肥大にはオーキシンの方がGAsより高い作用があると考えられた。他方、前年度にCPPU処理により単為結果した果実中ではGAs、オーキシンおよびABA合成が受粉果中と同様に誘導されることが明らかとなったことと考え合わすと、キウイフルーツ果実では、単一の内生植物ホルモンではなく、複数の内生植物ホルモン間で適切なホルモンバランスが形成され、果実の着生や初期肥大が図られると考えられた。
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