研究概要 |
本実験では,ユリ科植物においてマイクロプロトプラストを用いた非対称融合による形質導入技術を確立することを目的として,以下の項目について検討した. 1、培養組織からの植物体再生系の確立 効率的なプロトプラスト培養系の確立および培養細胞由来のマイクロプロトプラストの調製を目的として,様々な種・品種のユリ,ムスカリ,およびアガパンサス等において,他界増殖能力および植物体再生能力を保持したカルスまたは懸濁細胞培養系を確立した. 2、懸濁培養細胞からのマイクロプロトプラストの調製 ヘメロカリスの懸濁培養細胞を種々のDNA合成阻害剤および紡錘糸形成阻害剤で処理し,微小核形成に及ぼす影響を調査した.その結果,ヒドロキシウレアとプオピザミドを連続的に処理することにより微小核が効率的に誘導されることを明らかにした.また,微小核を形成した細胞を酵素処理してプロトプラスト化し,遠心分離によりマイクロプロトプラストが単離できることを明らかにした. 3、花粉母細胞からのマイクロプロトプラストの調製 数種のユリにおいて,紡錘糸形成阻害剤のCIPCで花粉母細胞を含む菊を処理することにより,減数分裂期の細胞から効率的に微小核を誘導できることを明らかにした.さらに,微小核を形成した細胞由来のマイクロセルを酵素処理することにより,マイクロプロトプラストを直接単離できることを明らかにした.
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