研究概要 |
家畜糞尿浄化プラントから排出される糞尿処理液は様々な無機成分を含むため,肥料資源として注目に値する.本研究では、初年度として牛糞尿電気分解液を液肥としてトマトの掛け流し式点滴養液栽培、数種葉菜類の底面給液による培地栽培し,生育,収量,品質に及ぼす影響を調査した. 砂耕及び土耕隔離床栽培では、牛糞尿処理液区の生育、収量は、対照区に比べやや低かったが,BER発生率も対照区と同レベルであり、栽培には十分利用可能であった.また、牛糞尿処理液を電気分解処理した高濃度液も、無機成分補正を行うことで、トマトの栽培は可能であり,また果実サイズは小さくなるが,可溶性固形物含有率などの品質を向上させることが明らかとなった. 葉菜類の栽培実験では、(1)栽培システムの検討、(2)栽培作物の検討、(3)培養液濃度、添加物の影響の検討を行った。その結果、パーライトを用いた底面給液システムで、タカナを材料として実験を行った。牛糞尿処理液は、無機成分の組成バランスが悪く、硝酸態窒素濃度が相対的に低いために、全体の希釈濃度を上げると、他の塩類の障害がおこる。今後は塩類濃度が高くても生育可能な耐塩性の作物を選び、なおかつ窒素含有量の高い有機性堆肥あるいは培地と組み合わせることにより、硝酸態窒素濃度を上げ、生育の増大を計る必要があることが明らかとなった。
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