研究概要 |
ニホンナシ'二十世紀'および'秋栄'の台木としてクインスEMA(以下Co)を用いた場合、強性台木であるマンシュウマメナシ台木(以下Pb)と比較して著しくわい化することが示された。さらに、その原因をは樹体への光合成産物の分配が少なく、より果実への分配が多いためと思われた。また果実品質は'二十世紀では強性台木を用いた場合と比較しても大きな差はなく、十分実用化できる物と思われた。 一方、次に成長抑制物質の面からわい化機構を検討したところ以下のような知見が得られた。木部樹液を分析した結果,C.o台の'二十世紀'並びに'秋栄'両品種とわい性台木の木部樹液中にはいずれも30μg/ml程度のアミグダリンと2μg/ml程度の安息香酸が検出された。しかし,ウメで検出されたプルナシンは検出されなかった。一方,P.b台樹では両品種ともアミグダリン,安息香酸とも検出限界以下であった。一方C.o台の発育枝中には300μg/gFWのアミグダリンが検出されたが、P.b台ではその1/100程度の含量であった。両品種の果実について分析を行ったが,いずれも検出は不可能であった。これらの結果は,モモやセイヨウナシのわい性台木を用いた実験と同程度の含量である. アミグダリン溶液中での葉組織の呼吸速度を調査した結果1000ppmの濃度でも影響を与えなかった.これに対して安息香酸は500ppm以上で明らかな呼吸阻害を示し、わい化の一因と考えられた。
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