研究概要 |
(1)シコクカッコソウについて:2001年に引き続き,開花期に花色などについて形質調査を行うとともに、花弁を採取し花色素の分析を行った。その結果、主要色素はマルビジンの3種類の配糖体であり、色彩色差計データによって花色分類した紅色系はそのうち2種類を持ち、フラボン系色素の量が少ないことがわかった。一方、紫色系・桃色系は、残りの1種類のマルビジンを持ち、フラボン系色素の含有量が比較的多く、紫色系ではその量が多く、桃色系では少ないという関係が見られ、コピグメント効果による色調の変化である可能性が考えられた。また、P. cortusoides×シコクカッコソウの種間雑種においても同様の結果が得られた。 底面給水法や点滴給水法を組み合わせた栽培方法について栽培実験を行った結果、栽培適地である標高約600m地点では何れも生育が優れ、特にハンモック栽培では根系の発達が優れるとともに、秋に形成される不定芽数が、他の栽培方法に比べ最大で10倍程度に達し、小規模な繁殖方法としての利用の可能性が考えられる。一方、栽培不適地である低地では、生育はやや劣ったが、点滴給水区の生育が一般の栽培に比べて優れていた。ハンモック栽培では地上部の生育は不良であったが、根系については点滴給水と同程度であり、給水量の調整などが必要と考えられた。 (2)その他:引き続きムニンノボタンの花を中心とした形質調査を行い、前年度と同様の結果であった。また、オオハマギキョウについて不定芽分化を目的にカルス誘導を行ったが、カルス誘導の効率が低く、カルスの増殖も緩慢であり、今後これらの継代を行うとともに、再度カルス誘導を試みる必要がある。
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