研究概要 |
シコクカッコソウの花色を色彩色差計で調査した結果,3色に大別できた.これらの花弁に含まれる色素を分析した結果,主要色素としてマルビジン配糖体が3種類(MI, MII, MIII),フラボノール類が1種類(FI)検出された、これらの色素と花色との関係を検討した結果,紅色系ではMIIとMIII,少量のFIが検出され,紫桃色系ではMIとFIが検出され,FIの相対量には大きな変異が見られた.そこで,FI/MIと主波長との関係を調べたところ,密接な関係が見られ,紫桃色系における花色変異はコピグメンテーションによると考えられた.さらにサクラソウなどの近縁種と比較した結果,これらも基本的には同じ花色変異メカニズムを有すると考えられた. また,シコクカッコソウにおける倍数性を調査した結果,2n×2nのF1から4nが1個体,3n×2nのF1から高率で3nが見いだされ,異数体も確認された.またコルヒチン処理によって高率で4nが誘導されることが確認され,倍数性育種によって優良系統が得られることが示唆された. シコクカッコソウの栽培方法について検討した結果,点滴給水が適し,栽培方法としてハンモック栽培を用いることで,根に多くの不定芽が誘導されることが明らかになった. ムニンノボタンについて形質調査を行い,近縁種と比較した結果,園芸植物としての優位性は確認できなかったが,ムニンノボタン2系統間で生態的・形態的な差異が見られ,栽培条件の検討や系統間交配によって,園芸的利用の可能性があると考えられた.
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