研究概要 |
クロマメノキ×'ブルークロップ'から得られた雑種系統KB7の成熟果について,両親との比較を行った.その結果,KB7の果実はクロマメノキに近い球形であり,重量は'ブルークロップ'に比べ軽かったものの,クロマメノキより4倍重かった.また,両親と異なり果柄が長い特徴を示した.糖および有機酸を分析したととろ,KB7の果実はブドウ糖と果糖がほぼ等量でショ糖がわずかであり,花粉親である栽培種の'ブルークロップ'に近い糖組成を示し,それらを合計した全糖含量は,クロマメノキに比べ有意に高い値を示した.また,有機酸組成についても,クロマメノキではキナ酸の割合が多く次いでクエン酸,リンゴ酸の順であったのに対し,KB7ではクエン酸が主でキナ酸およびリンゴ酸の割合が低く,'ブルークロップ'に近い酸組成を示した.なお,これらを合計した全有機酸含量は,クロマメノキに比べ低く,'ブルークロップ'に近い酸含量を示した.さらに,アントシアニンを分析した結果,KB7のアントシアニン含量は'ブルークロップ'(78.9mg)の約3倍以上(265.9mg)と極めて高く,クロマメノキとほぼ同程度の値を示した. 次に,'アーリーブルー'と'ホームベル'果実のアントシアニンを分析した結果,12のアントシアニンのピークが検出された.全アントシアニン含量は,両品種ともに着色始めから成熟にかけて急激に増大したが,成熟果の値は'ホームベル'で400mg/100gF.W.以上の値を示したのに対し,'アーリーブルー'では約150mg/100gF.W.と低かった.なお'ホームベル'では着色前よりシアニジン-3-モノアラビノサイドの割合が増大した.また,数品種について露地と雨除け栽培を比較した結果,いずれの品種も露地に比べ雨除け栽培でアントシアニン含星が高いことが明らかとなった.
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