1)遺伝子破壊により得たトマト萎凋病菌の病原性欠損株の遺伝子解析 遺伝子挿入により得たトマト萎凋病菌(Fusarium oxysporum f.s.lycopersici)の病原性欠損変異株(B02)の遺伝子挿入部位を特定し、ゲノミックライブラリーから回収したその周辺領域をクローニングして塩基配列を決定した。本変異株はフザリン酸の生産能が著しく低下し低るため、その合成に関わる遺伝子が破壊されたものと推察されるが、データベースによる検索の結果、本クローニング領域と相同性のある遺伝子の情報が得られなかったので、遺伝情報をむくむ領域は、プラスミド挿入部位の他方の領域に存在する可能性があると考えられた。 2)Verticillium dahliaeの病原系統特異的遺伝子領域の探索 Verticillium dahliaeの病原性特異的遺伝子領域の探索を目的として、病原タイプの異なる菌株のゲノムDNAを鋳型に、PCRで増幅されるDNA断片の電気泳動パターンを24〜48種頃のプラーマーを用いたRAPD解析を行なった。その結果、一種類のプライマーにより、トマトまたはピーマンに病原性のある系統に特異的な増幅産物が見出された。この増幅産物をプローブにして各菌株DNAに対するゲノミックハイブリダイゼーションを行った結果、それぞれの病原系統だけに検出されるバンドが認められた。さらに、トマト系統に特異的な増幅産物を含む領域をゲノミックライブラリーからクローニングして解析した結果、本領域にはトマト系統のレース1に特異的な領域が存在することが判明した。以上のことから、以上の増幅産物はその特異性から、菌の宿主特異性を支配する遺伝子に由来している可能性があるものと考えられた。
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