各種PGPF菌の抵抗性誘導機構を解析した。キュウリの本葉第2葉にPGPF菌の培養ろ液を処理し、24時間後に第3葉に炭そ病菌(Colletorichum orbiculare)を接種した。その結果、PGPF菌の培養ろ液を処理したキュウリは処理しなかった対照に比べて炭そ病の病斑面積が著しく減少し、顕著な誘導抵抗が認められた。病原菌の侵入箇所におけるリグニンの集積は対照に比べ処理植物で著しく多かった。リグニンの集積は病原菌接種後24時間でみられた。培養ろ液のエリシター活性は培養ろ液をルミノールとともにキュウリ果実に処理したときの化学発光量で測定した。その結果、培養ろ液を処理した果実からは無処理のものに比べ著しく多い化学発光が認められた。次に培養ろ液を処理することで、植物体にパーオキシダーゼ遺伝子やキチナーゼ遺伝子の活性化が生じるかを調べた。その結果、病原菌を接種しなくても、培養ろ液のみの処理により、パーオキシダーゼ遺伝子は2時間後に、また、キチナーゼ遺伝子は4時間後にそれぞれ発現することが明らかになった。すなわち、培養ろ液のみの処理によるプライミング効果が認められた。また、病原菌を接種すると、培養ろ液を処理した植物で、パーオキシダーゼ遺伝子やキチナーゼ遺伝子の活性化がより早く、また、顕著に現れた。
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