本年度は予定通り、まず、エクダイソンと幼若ホルモンの共通コアクティベータ候補であるCREB-binding protein(CBP)の完全長クローニングを行った。cDNAライブラリースクリーニングにより、オーバーラップするほぼ全長に近いORFの情報を得た。さらに5'RACEを行うことにより真の5'末端を得、全長のORFを得ることができた。蚊のCBPは全長11kbを越えるたいへん長いものであり、5'末端はグルタミンリッチな配列の挿入位置により3種類に分けられた。 次に、幼若ホルモンレセプター候補としてあげた、estrogen-related receptor(ERR)とarylhydrocarbon receptor complex(dimer of arylhydrocarbon receptor(AhR)and AhR-nucelar translocator(Arnt))の完全長クローニングを行った。ERR、Arntについては、cDNAライブラリースクリーニングにより、共に完全長のcDNAクローンが得られた。特にArntには、翻訳開始位置が配列挿入によって異なる2つのisoformのクローンを得た。最後にAhRについては、cDNAライブラリースクリーニングでポジティブクローンが得られなかったので、5'RACE、3'RACEを含めたPCR関連の技術を駆使して、最終的に完全なORFを得ることができた。得られた配列の解析により、蚊のAhRは配列の挿入により、3'側のアミノ酸配列が異なる2種のisoformを持つことが明らかになった。
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