研究概要 |
平成13年度は、物理的地図作成の基本技術であるファイバーFISH法の技術確立及びコスミド・プラスミドクローンを用いた初歩的なマッピングを行った。材料には、エンドウ根腐病菌(完全世代Nectria haematococca;不完全世代Fusarium solani)の1.6-Mb CD染色体をモデル染色体として用いた。主な結果は次の通りである。 1.DNAファイバー標本作製法の確立 パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)用に作製したプロトプラスト包埋アガロースブロックとPEGEで分離した染色体DNAバンドを切り出したアガロースブロック(いずれも低融点アガロース使用)の両方からDNAファイバー標本を作製する方法を確立した。ただし、後者の方が蛍光抗体染色時の非特異的バックグランドが低く、また目的とするDNA領域が高密度に存在するので、DNAファイバーの材料としてより適していることがわかった。 2.cosmid cloneを用いた物理的マッピング技術の確立 contigを形成するcosmid cloneから代表的なものプローブとして選び、3色く(FITC,ローダミン,FITCとローダミンの混合色)ファイバーFISHによって物理的地図の作成が可能であることを確認した。ハイブリダイゼーションの検出は、2次抗体によるシグナル増幅、トリプルバンドパスフィルターによる蛍光観察、ISO800カラーフィルムによる写真撮影の組み合わせで可能であった。 3.間期核に対するFISH 間期核を用いて予備的マッピングが可能かどうかを、コスミド及びプラスミド(挿入断片は2.7kb)クローンを用いて検討した。プラスミドクローンでもシグナルは検出され、染色体領域全体のペインティングと併用することにより、クローンの連鎖関係の解析は可能であると考えられた。
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